どこにも居場所がない、帰る家なんてない、唄える歌を失ってしまった。希望を言われても、その裏にある建前を感じてしまい、信じることができない。幸せなんてどこにもないし、生きている意味なんてたぶん、ない。つぎはぎだらけの人生とやらを、これからもどうやら生きていくしかなくって、妊娠した彼女を妻として、生まれてきた子供を愛する人として、借金の上に作った家をマイホームとして、でかいだけの車を幸福として、教えられた生き様で今日も一日が過ぎていく。あと一体何日が過ぎたら、幸福を過ぎて天国とやらに行けるのだろう。誰かに上積みされた嘘の幸せを信じて、今ここにいる。
でも、本当はそうではないと、違った人生がどこかにあるのだと、まばゆい光に包まれてはしゃげるのだと、どこかで思っていた、そして今ただただタバコを吸いながら、遠くを見つめている。
どれだけ見つめても、答えなんてなくて、どこかで古明地が唄っていた、それを聞いていた。もう少しだけ生きていこうかなと思った。